前十字靭帯損傷の受傷機転について

  • 2021.08.15

こんにちは。

足立区竹の塚にあるわしざわ整形外科スポーツ整形外科リハビリテーション科、理学療法士の河邉です。

今回は、当院でも受傷し来院されることが多い、スポーツ現場で多く見られる前十字靱帯(ACL)損傷について紹介します。

まず、前十字靭帯(ACL)は大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)を繋ぐ靱帯で、脛骨(すねの骨)が前方に滑るのを防ぐことと、捻りの安定性を担う膝関節の靱帯です。(図1)

では、前十字靭帯(ACL)損傷がどのようなスポーツで多いのか、どのように起こるのかを紹介したいと思います。

前十字靭帯(ACL)損傷が多い競技として、バスケットボールサッカー、スキー、ラグビーなどがあげられます。バスケットボールやサッカーでは非接触型の損傷が多く、ラグビーでは接触型での受傷が多いと言われています。

次に前十字靭帯(ACL)を損傷してしまう、代表的な受傷機転のパターンについて説明したいと思います。

1つ目は外反損傷です。これは、ストップ動作方向転換(サイドステップカッティング)をするときに膝関節が内側へ逃げることでストレスが生じ、損傷が起こります。(図2)

2つ目は内反損傷です。これは1つ目とは反対で、ジャンプの着地時外側への方向転換時に膝関節が外側へ逃げることでストレスが生じ、損傷へ繋がります。(図3)

3つ目は過伸展損傷です。これは、膝関節が通常よりも伸びた状態で起こるものです。これもジャンプの着地時正面からのタックルなどで後方へのストレスが生じ、受傷します。(図4)

4つ目は屈曲損傷です。膝関節が深く曲がった状態で大腿四頭筋に強く力が入り、すねの骨が前方に引っ張られて起きますスキージャンプの着地急激にスピードが上がった時などに重心が後方へ移動したときにストレスが生じ、損傷します。(図5)

これらのような損傷を防ぐために、動作の中で膝関節が内側や外側に逃げないようにストレッチ筋力トレーニングで安定性を高めることが重要とされています。次の記事で前十字靭帯(ACL)損傷の予防トレーニングについて紹介していきます。

<参考引用文献>

今屋健ら,スポーツ外傷・障害に対する術後のリハビリテーション,p184~192

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